Cuba, Havana

キューバサンドの記憶

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キューバといえば、モヒートや葉巻と並んで「キューバサンド」を思い浮かべる方も少なくないはずです。2014年公開の映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(原題:Chef)。豚肉、ハム、スイスチーズ、ピクルス、マスタードを挟み、こんがりとプレスされて作られるホットサンドです。

実際にキューバを旅した際、私自身も何度もレストランやカフェ、バーにキューバサンドを食べに出かけました。

調べてみると、キューバサンドのルーツは19世紀末から20世紀初頭、キューバからアメリカ・フロリダへ渡った移民たちの労働食にあるといいます。特に葉巻産業で栄えたタンパのイボア・シティやキーウェストの労働者向けカフェで生まれ、キューバの「ミクスト・サンド」がアメリカで「クバーノ」へと変化していった、というのが定説のようです。

実際に現地で食べ歩いた中には、野菜がたっぷり盛られたプレミアムなキューバサンドや、半ばクラブサンドのように豪華に仕立てられたものもありました。

けれど、一番印象に残っているのは、お世話になったカーサ(キューバの認可された民泊)の朝食に出てきた、驚くほどシンプルな一皿でした。キューバサンドと、手のひらを優に超えるサイズの大きなアグアカテ(アボカド)のスライス、そして砂糖をたっぷり溶かしたカフェ・コン・レチェ。飾り気のない、しかし確かな味の朝食でした。

本当に毎日と言っていいほど、朝食にこのキューバサンドが出てきました。普通なら飽きてしまいそうなものですが、あまりに美味しくて、こちらからリクエストしていたほどです。

市場に並ぶアグアカテ(アボカド) アグアカテの値札、1個10ペソ
カーサの朝食に出てきたキューバサンド
市場に並ぶアグアカテ。1個10ペソ、至る所で売られていました。
お世話になったカーサの朝食にも、毎日のようにこのキューバサンドが出てきました。

労働食として生まれたキューバサンドは、本来、美しく着飾ることよりも、その質実剛健さこそが、本当の魅力だと思います。

SNS映えが重視されがちな今の食文化とは、少し逆行するかもしれません。

当店では、できるだけ削ぎ落としたシンプルなキューバサンドをご用意しています。ぜひ、その飾らない一皿をお楽しみください。

旅の最後の夜、お願いして作ってもらったキューバサンド
旅の最後の夜、無理を言って作ってもらった一皿。
まったく映えませんが、本当に美味しかった。